事業報告 自治会 防災イベント レポート

レポート

「防災イベントを終えて」

 7月10日(日)予定通り青山新町第一自治会主催による「防災イベント」が開催されました。当日の朝は新潟市から熱中症アラートが発表され、気温が高い気象状況でしたが、そんな暑さも時間も忘れさせてくれる程、楽しみながら学べる貴重な機会となりました。小学校育成部長さんのお声がけなどもあり、予定よりも多くの方々がご参加くださいましたし、イベントの終わりには子ども達の「楽しかった!」という声をたくさん聞くことができました。また、各会場・施設では職員・作業員の方々が懇切丁寧に対応してくださるとともに、貴重なお話を聞かせてくださいましたのでご報告いたします。

(1)イベントの概要

・9:30  参加者全員 ローソン会場集合

         →大人21名、子ども10名  計31名 

・事務局長よりグループ分けと動き・注意点などの確認がありました。

                        <10:30~>   <11:30~>

☆Aグループ 9班:青山浄水場スタート  → ローソン会場 → 関屋変電所

☆Bグループ 3班:ローソン会場スタート → 関屋変電所  → 青山浄水場

☆Cグループ 4・5・8班:関屋変電所スタート→青山浄水場 →ローソン会場

※途中、具合の悪くなった方は救護用テントで休むか帰宅し、イベントの最後は、その場で解散するという指示がありましたが、皆さんのご協力のお陰でトラブルも体調を崩された方もなく、予定したことを全て終えることができました。

 以下に、それぞれの会場・施設での様子や体験・学んだことを紹介します。

(2)ローソン会場

  • 高所作業車体験

◆高所作業車は2台あって、東北電力ネットワーク施設部門の作業員の方々が乗せてくださいました。乗車希望者はハーネスとヘルメットを装着し、安全に充分配慮しながら、最高約13mの高さまで上がることができます。作業員の皆さんは、「怖かったら言ってね。」と子ども達にもとても優しく接してくれました。乗車した皆さんの感想を紹介します。「楽しかった・ちょっと怖かった・意外と高かった・あんなに高いとは思わなかった・電信柱を超えてるようだった・5階と同じくらいまで上がった・アピタまで見えた・水道遊園や新町公園が見えた など」

この高所作業車は、東日本大震災時の電線工事においても力を発揮し、お陰で復興が早く進んだそうです。

  • 防災士ブース

◆まず「互近助力」という大きな文字が目に飛び込んできます。さらに「自助:自分の命は自分で守る」「共助:みんなで協力 助け合い」「ローリングストック」という表示も掲げてありました。「ローリングストック」とは、有事の際に備えてストックケースやリュックの中に水や缶詰・レトルト食品などを入れておき、賞味期限までに消費し、また買って補充することを繰り返すことです。どうしても賞味期限が切れてしまいがちですが、水の場合は断水の時などにトイレの水として流したり、汚れ物を洗ったりすることができます。備えるものとして一番大事な物は水ですが、特に女性の場合は トイレが大切です。災害の時には電源が失われているので、水洗トイレは使ってはいけないということで、手作りできる簡易トイレを教えてもらいました。段ボール箱を二重にして、そこにビニール袋をはめるとできあがります。また、百均で買える物も結構あるそうです。敷いたり体に巻き付けると暖が取れるアルミシートなども買えるそうなので参考にして下さい。あと、備えておく食料としてはやはり家族が食べ慣れている物がよいでしょう。飴は比較的長持ちするそうです。 

   

  • 起震車体験

◆起震車は一度に4人乗り(大人4名 280kg)となっていましたが、小学生の子ども達も乗せてもらえました。震度5強・震度7・中越地震の震度、この3種類が体験できます。希望者は手の消毒をしてから、履き物を脱ぎ、階段を上って起震車に設置されているテーブルのイスに座ります。安全のため、奥に座っている人はレバー、手前に座っている人はテーブルの脚をつかんで準備をします。そして、3・2・1のカウントダウンのあと、それぞれの震度で激しい揺れが襲ってきます。震度5強ではまだ耐えられそうですが、固定されていない家具などが倒れて、逃げ道は塞がれてしまうと思われます。震度7に至っては、もうなすすべなしという感じで、揺れている最中に避難することはできません。テーブルの下に潜り込んで頭部や体を守ることも難しいと感じました。

中越地震は、子ども達がまだ生まれる前の平成16年(2004年)10月23日午後5:56に発生した地震で、新潟市内もかなり揺れたと記憶しています。マグニチュード6.8、最大震度7を記録し、強い余震が何回もありました。死者68人、負傷者4,805人など被害も甚大で、今回の起震車体験は、この中越地震の最大震度と余震を再現したものでしたが、こちらもなすがまま、ただ揺られていただけの状態でした。3種類の揺れを体験してみて、つくづくこのような強く激しい地震では、自分の意思で避難することは困難であると痛感しました。

ローソン会場では、職員・作業員の方々のお陰で、安全に楽しく体験を終えることができました。時間があれば、もう少し防災士さんの話を伺いたかったなと思いますが、今度百均のお店に行った時には、是非防災グッズを見てみたいと思います。

 

(3)関屋変電所

まず建屋の中に入り手指の消毒を行った後、資料と見学記念カード、さらには記念のグッズ3種類(ペン・ノート・ハンカチ)の中から一つをいただいた上に、冷たい麦茶まで用意していただき、恐縮してしまいました。

見学の際の注意点として、電気機器には近づかない・さわらない、写真撮影は禁止、案内場所以外立ち入り禁止などの話がありましたが、中でも「手を頭より高く上げないで下さい。飛んで来る電気があります。」と言われた時は、少し緊張しました。事前に、雨が降っても傘は差せないと聞いていたので、改めてその理由を理解できたように思います。やはり高電圧の電気機器を扱っているので、危険のないよう留意されていると感じました。

  • 発電機の実験と電力

◆白熱電球とLED電球をつける実験を行いました。白熱電球の方は重い力が必要で、かなりしっかり力強く回さないと点けることができませんが、LEDの方は軽い力で電気を点けることができました。軽い力で回せるということは少ない電力で済むということです。また、発電機が2台あれば、半分の力で同じ電力を発電できるということなので、東北電力の管内には発電機がたくさんあります。

◆たくさんの電力を使うということは、自転車で昇る坂道が急になることと同じです。一人で漕ぐのは大変ですが、大勢で漕げば楽ちんです。でも、坂道がもっと急だと(電気を使う量が多いと)大勢でも大変になってきます。たくさんの電力が必要になると、大勢で漕いでも皆が苦しくなり、次々にダウンしてしまい、最後は全滅(停電)してしまうのです。

◆電気は時間や季節で変わります。電気は貯められないので、余りそうな時は発電機の力を緩めたり止めたりし、足りなそうな時は発電機を総動員して停電しないようにしています。一日の中で昼に電気の量が下がるのは、稼働していた工場が昼休みのため停止されたり、電気を消したりするからです。また、エアコンを使う季節にはやはり電力は厳しくなりますが、エアコンを使わない季節は余剰分があるので、太陽光発電を止めてもらいます。

  • ペットボトルの水の実験と圧力

◆水は細い管よりも、太い管の方がたくさん流すことができます。では、細い管でたくさん流すにはどうすればよいでしょうか?水を上から押してあげると(圧力をかけると)勢いがついて、たくさんの水を流すことができるのです。電気も水で考えると分かりやすくなります。    

○水を押す力 :電圧 <V ボルト>

○水が流れる量:電流 <A アンペア>

○水が流れる管:電線

  •  なぜ変電所が必要なのか

電気をたくさん流すためには、電線を太くする必要がありますが、電圧を2倍にすると電線の太さは2分の1でよくなります。関屋変電所には太さ2cmの電線で電圧6万6千ボルトの電気が送られてきます。それを断路器 →真空遮断器 →計器用変圧器で6,600ボルトに落として建屋に送っているのです。もしも家庭用の100ボルトの電圧で電気を流そうとすると13.2mもの太さの電線が必要になるそうです。到底このような電線はできませんし、電圧が高いほど細い電線ですむので材料費は安くなりますが、高い電圧では使いにくいため、変電所で送られてきた電圧を変えながら、必要な所に送っているのです。

電線は軽いアルミで作られています。銅線は重いので、それを支える施設もしっかりと作らなければならないため大変です。<同じ長さのアルミの電線と銅線を実際に持たせていただき比べてみましたが、銅線は非常に重く感じました。また、実験と説明の後、熱中症対策として、塩あめ・塩キャラメル・麦茶を美味しくいただきました。>

  •  質問と答え

●今まであった赤い△の旗は何のために付いていたのですか?

→これより近づくと危険ということで、作業員の安全のために付けていました。電線から1m以内に近づくと感電する恐れがあります。

●関屋変電所はどこの発電所から電気が送られて来るのですか。また、電線を流れている間に摩擦などで電気は失われたりしないのですか?

→関屋変電所に送られてくる電気は、いろいろな発電所で作られた電気がブレンドされています。例えば、東新潟火力発電所から赤道の中新潟変電所に送られ、さらに県庁の変電所、そして関屋変電所というように送られてきます。青森から送電されることもあるし、もちろん太陽光や風力といった再生可能エネルギーも含まれています。

 電気は太い電線ほど通りやすいので、2cmの電線だとロスは少ないです。電線が細くなるほど熱が出て、各家庭に届ける電線だと5%くらいが熱となって逃げています。

  ●関屋変電所には何人の職員がいらっしゃるのですか?

  →普段は無人です。今日は、県庁の方の変電所から来ています。(変電所の勤務は24時間3交代制です。何か機器に異常があった場合には、ブザーが鳴り知らせてくれます。)

  • 施設内の見学

○真空遮断器・・・家にあるブレーカーのお化けです。雷などで事故が起きた時に6万6千ボルト・1万アンペアを超える電気を止める力をもっています。電気を止める所が真空になっていて、電気が止めやすくなっています。陶磁器でできているのですが、ここは海に近いということで塩害を防ぐため、良い物が使われています。

○変圧器・・・電圧を変える機械です。電線がショートしないように中には絶縁油が入っていて、最近では菜種油を使っています。また、街中にある変電所なので、変圧器もできるだけ音が静かな物にしています。

変電所では理科の授業のような実験を通して、分かりやすく電気について学ぶことができました。また、変電所の果たしている役目についても理解することができたと思います。

職員の方々にはたくさんの温かいお心遣いをいただき、ありがとうございました。工事があと数年続きますが、ご協力よろしくお願いしますとのことです。

(4)青山浄水場

 到着すると、水道局の職員の方々が待っていてくださいました。「担当の後について30分ほど場内を歩きます。機械には触らないでください。」という諸注意を聞き、見学スタートしました。見学した順に報告します。

  • 着水井(ちゃくすいせい)・・・信濃川取水場から取り入れた水が浄水場に着く所です。水の汚れを固まりにする薬品も投入されます。
  • 沈でん池(ちんでんち)・・・薬品により大きくなった水の汚れが池の底に沈みます。透明になった水に消毒のための塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を投入します。奥に行くに従い、水はきれいになっていきます。
  • ろ過池(ろかち)・・・10基あり、3日程同じ池につかったら洗浄して次の池へ進みます。砂と砂利の隙間に水を通過させて、砂で汚れを取り除いて、水道水ができあがります。汚れた砂・砂利は洗って使用しています。

ろ過池から次のポンプ場に行くまでの間に、広い芝生の原っぱがあります。一見するとただの原っぱなのですが、この芝生の下には2万立方メートルの空間があって、きれいな水を貯めているそうです。配水池と言います。電気は貯められませんが、水は貯められるのでいいなと思いました。

  • ポンプ場・・・ここのポンプで西区と中央区に送水しています。西区の場合は内野で、内野にもポンプ場があって水を配っています。また、一番奥の3台目のポンプでは、ろ過池を洗っています。来年度・再来年度でポンプを増設していく予定です。
  • 発電機・・・停電の時に使うものです。青山浄水場は、関屋変電所の他にもう1カ所中央区の変電所からも送電してもらっていますが、両方がストップした時、発電機を使います。灯油1万リットルを常に貯めてあり、エンジンの回転力で電気を作ります。停電になると自動で動き、水を配るポンプを起動させます。灯油1万リットルで13時間くらい動かすことができ、灯油の補充はエネオスに来てもらうそうです。

最後の見学場所は、蛇口からきれいな水が出ている所(柵のすぐ向こうに私達の自治会が見えます)でした。地震の時、たとえ水道管が破損しても、ポンプが動いていれば、ここの水が供給できるので、給水車を持ってきて水を届けることができるそうです。

見学が終了してお別れする時に、信濃川浄水場で作られている「柳都物語」という水を1本ずついただきました。暑い中、5000歩以上歩いた後にいただいた冷たい水は、体に染み渡るようで本当に美味しかったです。

今回のイベントでは、震度7の地震の凄さと災害に対する備えの大切さを再確認するとともに、私達が生きていく上で最も大切なものなのに、普段深く考えたこともなかった水と電気について多くのことを学ぶことができました。

各会場・施設でお世話になった職員・作業員の方々、そして参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。以上で「防災イベント」のご報告とさせていただきます。   

報告:書記係